[ 1ページ目 ]
      吉野から熊野に至る大峯奥駈道は紀伊半島を貫いて続く修行の道です。1300年もの間人々は深い山に分け入り、断崖をよじのぼり、祈りを捧げてきました。吉野大峯の山々が織り成す大自然と宗教文化のありようは、日本人の精神を根底で支えているのかも知れません。大峯の修行は靡(なびき)と呼ばれる拝所をめぐって歩くことになります。
靡とは役行者の法力に草木も靡いたということから名付けられた行場のこと。かつてはもっと数があったようですが、現在は七十五靡と称されるように75箇所で勤行をしながら修業していくそうです。柳の渡し
修行は水垢離を取ることから始まります。近鉄六田駅に近い柳の渡しで吉野川に入り、体と心を清め、75靡にあたる柳の宿では小さな祠に安全祈願などそれぞれの願いを込めて祈ります。74靡の丈六山を経て、金峯山四門のひとつである銅の鳥居へと向かいます。
金峯山というのは吉野から山上ヶ岳に至る総称で、山上ヶ岳山頂と吉野山双方に蔵王堂がありますから、山上、山下の蔵王堂と呼んで区別しています。この山下から山上への道筋に発心、修行、等覚、妙覚の四門が立ち、修行へ向かう人々は門をくぐる度に気持ちを新たにするそうです。柳の宿修行に入る第一門が、安芸宮島の朱塗りの鳥居、大阪四天王寺の石の鳥居と共に日本三大鳥居のひとつである銅の鳥居。 銅板で固められた大鳥居には空海の筆と伝えられる「発心門」の扁額がかかります。銅の鳥居この鳥居では新客と呼ばれる初めて参加した人だけの行があります。鳥居に手をかけながら「吉野なるかねの鳥居に手をかけて弥陀の浄土にいるぞうれしき」の歌を唱えるのです。こうして発心(決心)を固めていくのでしょう。
123 次のページへ
第1話へ 第3話へ
 
 
ページトップへ▲
大峯奥駈道を行く 「第2回 第一の関門 発心門〜橋の渡しから二蔵宿まで〜」
松井さんプロフィール 大峯奥駈道を行く 第12話第11話第10話第9話第8話 第7話 第6話 大峯奥駈修行 行程表 第5話 第4話 第3話 第1話 大峯奥駈道の位置 大峯奥駈道