大峯奥駈道
[ 2ページ目 ]
名物の葛湯に心も温めて
五番関からは男性だけになってひたすら次の目標である浄心門へと向かいます。浄心門は等覚門とも呼ばれる簡素な木の門です。等覚とは仏の心に近づき、仏に近い悟りを得ることだとか。門の手前には役行者を祀ったお堂がりますから手を合わせて通ります。ここには洞辻茶屋があり、うどんやカップ麺、葛湯などがいただけます。奥駈道には茶屋跡がずいぶんたくさんありますが、雨宿りと簡単な食事を修験者のために用意していたのでしょう。この茶屋の名物は葛湯です。真夏でもこの温かい葛湯が体には嬉しいそうです。行者たちはここで服装を整え、正装して山上ヶ岳へと向かうのです。

いよいよ表行場での修行

鐘掛岩は今年初めて参加する新客の行です。荷物を置き、身一つで岩場へ登ります。鎖ひとつを頼りに、足場を確かめながら鐘掛岩の上を目指します。岩場の上には役行者の像 があり、修験の人々を見守っているそうです。悠々たる風景を眺める行者は、今も人々の心にしっかりと生きているのですね。
お亀石という役行者の母が息子の身を案じて亀に姿を変えて会いにきた伝説の岩を見、母のことに思いを馳せているといよいよ西の覗きの順番がめぐってきます。写真を見るだけでも恐怖感にとらわれる覗きの捨身行。ロープを緩められ、体が落ちるずずっという音まで聞こえてきそう。
力強い妙覚門に迎えられると喜びもひとしおだといいます。妙覚とは仏とひとつの境地になったことで、この門をくぐることは仏と一心になるといわれています。

更に続く裏行場
山上ヶ岳の裏行場は厳しい岩場が続き、その怖さは西の覗きよりももっと強いほどだとか。裏行場には胎内潜りと呼ばれる狭い岩の間を抜けるなど、擬死再生を具現化しているそうです。
今年は雨のためにこの裏行場での行ができなかったそうです。楽でもあったけど残念だったとか。本堂の前では採灯護摩の法要が営まれます。これまでの行中安全感謝とこれからの安全祈願、各人各様の願いをこめて般若心経を唱えるのです。
ここの宿坊で出される蜂蜜茶のおいしさは格別だそうです。疲れた体には最高のおもてなしのようです。食事はもちろん椎茸や高野豆腐などの精進料理。ここでひととき安らいで、翌日は早朝3時に食事、4時出発とまた厳しい1日が始まるのです。

大峯山寺本堂

平等岩
12 前のページへ
第2話へ 第4話へ
 
 
 
 
 
 
ページトップへ▲
大峯奥駈道を行く 「第3回 女人結界門から山上ヶ岳を目指す」
第12話第11話第10話第9話第8話 第7話第6話 大峯奥駈修行 行程表 第5話 第4話 第3話 第1話 第2話 大峯奥駈道の位置 大峯奥駈道