[ 2ページ目 ]
午前4時、朝食の後、ご飯に漬物というだけのお弁当を持って出発です。弥山を下って天然記念物のオオヤマレンゲの群生地を抜けます。オオヤマレンゲは7月頃咲きますから、奥駈けの時期には目にすることはできませんが、花の頃を思い浮かべながら、ひたすら歩きます。「さぁんげさんげ(懺悔懺悔)、六根清浄」の掛け声に励まされつつ登りの道を行くと大峯山系最高峰の八経ヶ岳に到着。この山は仏経ヶ岳、八剣山とも呼ばれますが、役行者が法華経八巻を埋経されたという言い伝えから山の名がつけられたそうです。視界は360度、大峯山系を一望にする眺めは素晴らしく、役行者がここへお経を埋めたのもうなづけるほど、とのこと。雲海の素晴らしさも言葉では言い表せないとか。
 明星ヶ岳の山頂には登らず、山頂下の岩場で勤行。さらに1時間ほどで菊の窟遥拝所へ。菊の窟はどこにあるか分かっていません。記録などには残っているのですが、探し当てた人はいないようです。松井さんはここで朝の虹を見たことがあるとのこと。1回目の奥駈けで見たというのは何とも幸運。こんなことも松井さんが奥駈けへ引き込まれる要因なのかも知れませんね。
4日目のお弁当は船の多和でいただきます。弥山でいただいたお弁当は高地で炊いたものですから、ご飯が冷えて少し固いのです。ほとんどがご飯中心の食事。疲労も重なり、食べることがほとんど義務のようになってしまうのだそうです。4回目の時、ふと思いついて、レトルトの野菜カレーを持っていったそうです。船の多和での昼食にかけてみると食欲が出るし、疲れがとれるようだったとか。以来、他の人の分まで2袋持参するようになりました。ほんの少しずつでも分け合っていただくと食事に変化がついてとても美味とか。カレーの語源のひとつに釈迦がスパイスのきいたスープを人々に分け与えた時、おいしいという意味の「クーリー」と言ったからという説があります。カレーは釈迦と縁のある食事ですから奥駈けにはふさわしいのかも知れません。
12 前のページへ
第5話へ 第7話へ
大峯奥駈道を行く 「第6回 一の垰から舟の垰」
第12話第11話第10話第9話第8話 第7話 第6話 大峯奥駈修行 行程表 第5話 第4話 第3話 第1話 第2話 大峯奥駈道の位置 大峯奥駈道 松井さんプロフィール 大峯奥駈道を行く